用語・言葉について & 〇〇催眠、療法など

<催眠誘導する = 催眠術を掛ける>
催眠を施す、などとも言います。単に、誘導する、トランスに入れる、とも言います。

<暗示>
「暗示」ってホントは文字通り『”暗”に示す』ということですよね。
催眠では被験者を目的の状態にするために被験者へ伝える内容とその伝え方のことですが、「○○○すると△△△になります」となどと言いますね。これではホントウは暗示というより『”明”示』ですね。言葉で「直接」しかも「明らかに」示しているわけですから(こういうのを、「直接暗示」と言ったりもします)。でもこのホームページでは、催眠術を掛けるときに使う「言葉(指を鳴らすなどの合図や動きも含む)」を、簡単に「暗示」ということにします。  一般的には誘導の言葉を「暗示」と言うことが多いです。 ホントの意味での暗示は相手はそれと気付かなかったり、目的の方向に誘導操作されていることに気付かない場合も多いワケです。

<トランス / 催眠状態>
催眠状態になることを、「催眠に入る」とか「トランスに入る」などと言います。トランス状態(催眠性トランス)は軽いのから深〜いのまであります。  トランスの元の意味は「通って」「超えて」とか「別の状態へ」「向こう側へ」などです。要するに普通の意識状態とはちょっと違う「催眠状態」になるからトランスと言ったりします。催眠の研究者によっても多少違いがありますが、「トランス」の方が「催眠状態」よりも定義においては心的状態を幅広く定義しているとも言えます。つまり「催眠状態」の方は、仮に浅いとしても「催眠に掛かっている状態」とすれば、「トランス」は「あることに集中してる状態、没入状態(催眠状態的な状態)を含む」って感じです(^^;

<誘導者 / 施術者 / 催眠者 / 催眠術師>
催眠を掛ける人(催眠誘導する人)のこと。
ショー催眠(ステージ催眠)では術師・催眠術師という言い方の方がよく使われます。
直接暗示(明示ですね)を多用するショー催眠(ステージ催眠)などでは、「催眠術」、「催眠を”掛ける”」、「催眠術師」ということが多いです。 一方、心理療法や直接暗示ではない本当の意味での「暗示」なども多用する催眠の世界では“術”を付けずに単に「催眠」とか「催眠誘導」、「誘導する」「トランスに入れる」、催眠する人のことを「催眠者」「施術者」と言う方が多いです。勿論、催眠研究においても慣習的な意味もあって「催眠術」という言い方も使われます。

<被験者 / 被誘導者 / 被催眠者>
催眠に掛かる人、掛けられる側の人。誘導を受ける人、催眠状態に「入る」側の人のこと。
被誘導者、被施術者などとも言います。 

<ペインコントロール = 痛みのコントロール>
※痛みをほとんど感じないようにする「ペインコントロール」というのは歯医者さんなどで抜歯の時にやる所もあります。勿論その場で「ペインコントロール」が適する人に、ですヨ(^^;

<被験性:ひけんせい = 暗示の受入れやすさ、催眠の掛かり易さ>
一般に催眠の暗示への反応しやすさ、受け入れやすさを言うことが多いです。要するに「掛かり易さ」と言ってもいいでしょう。色々細かいことは区別せず、被暗示性とか被催眠性とか言う事もあります(学問的に厳密には、被暗示性と催眠感受性の意味は違ったり、特に催眠の実証実験などでは定義などによりちょっと違う意味になる場合があります。催眠感受性などという言葉で、それを測定するモノサシとして催眠感受性尺度なんていうのも色々ありますが、このページではあまり厳密には区別しないで使うことが多々あります)。
 『ショー催眠』の世界では催眠の掛かりやすさ(催眠状態への入り易さ)や、どれだけ深い催眠状態に入るかを言います。より深い催眠状態へ入り易くなったとき、「被験性が高まった」と言います。また、以前より時間的にすぐに催眠に掛かるようになった場合も、「被験性が高くなった」と言ったりします。元々被験性が高い人の場合、すぐに深い催眠状態まで入っていきます。
 ※催眠は、心の反応を起こさせるものです(心の反応が身体に変化をもたらすことは多くあります)。その目に見えない心の「反応」は強い人もいれば弱い人もいます。また、どんな刺激(暗示)だったらより良く「反応」しやすいのかも人によって違います。その目に見えない「反応」が外側にハッキリと、しかも強く現れる人は、ショー催眠にとっては大変良い存在なワケです。ショーがわかり易く面白くなるからです。
 (「催眠でできること、できないこと」のページの「できること」も参照してください)
 『催眠心理療法』などのセラピー系の場合は、外面的にショー催眠のように面白おかしく現れる反応はそれほど必要ありません(時にケースにもよりますが)。外面的に反応がハッキリ強く現れているからと言って、内的に(心の中で)深い強い反応が起きているとは限りません。(持続的なペインコントロール=痛みのコントロールや置き換え、神経症によるの痛みの緩和・解消などは別です)。例えば、握った手が開こうと思っても強く力が入ったまま固く締まるだけで開けない(カタレプシー)状態になったからと言って、心の深いところで起きている変化とは限りません。これは催眠状態の入口にすぎないという考え方もあります。しかも放っておくとすぐに解けてしまう状態です。 特にセラピー系の場合、最も適するいい按配(あんばい)での強さの反応・変化・変容とその持続性と、そしてそれとの、理性との関係や認識とが重要になってきます。ですので、それを行うのに適する催眠状態は、浅くてもいいし、深くてもいいのです。そしてその状態に応じての暗示などを与えていきます。むしろこちら(刺激・暗示)や本人(被験者)の認識の変化の方が重要です。
直接暗示だけでは限界がある場合もあります(催眠療法では、直接暗示だけでなんとかしようというのではありません)。もちろん直接暗示と、被催眠者の反応への催眠者の応答の仕方(例えば、被験者が「あ、大丈夫です。うれしいです」と言ったら『そうだね。嬉しいね』などと応答することetc)を重点にしてセラピーを行う場合も多々あります。「催眠を掛けること」だけを考えているのでなく、被催眠者(クライエント)に対する催眠者(セラピスト)の応答・反応の仕方自体も重要になってくるわけです。そして、間接的な暗示を与えたり、催眠誘導する前も、しながらも、そして誘導し終わった後にも、様々な意味での暗示(明示/直接暗示も含む)や応答を被施術者との間で交わしていきます。

<深化:しんか>
催眠状態の深さをより深くすること。

<自己催眠>
施術者なしで、自分自身で催眠状態に入ること。上達すれば自己催眠で心身の反応等をコントロールできます。(車のドライブに例えると、自分自身が自動車を運転して目的地へいくようなもの)。

<他者催眠>
施術者が被誘導者に催眠誘導する催眠のこと:施術者のサポートを受けて催眠状態に入ること。施術者の誘導の言葉;暗示に従えばいいので自己催眠より催眠状態に入りやすく、楽。(車のドライブに例えると、運転手に目的地を告げ、自分は助手席に座って風景を味わうようなもの。ときどき運転手に「あっち行って」「こっちの道の方がいい」などと注文もできる。楽)。

<ラポール>
「催眠」が掛かりやすくなるための施術者と被誘導者との「関係・状態・状況」です。互いの間の雰囲気やムードもすべて含みます。 そういう心的関係性のことです。 例えば催眠を掛けられる人が、掛ける人に対して心を開いて誘導・暗示を受け入れる心の状態、つながり。「架け橋」の意味もあります。このラポールという言葉には色んな意味が含まれます。「カウンセリング」ではラポートと言う場合もあり、特にクライエント(治療を受ける人)との信頼関係・・・クライエントがどれだけ心を開いてるか、心が通じ合っているかをいいますが、催眠の場合は、信頼関係だけではなく、不思議な雰囲気や権威的な雰囲気も含みます。心を開いているかどうかは別として「誘導の受け入れ態勢×誘導の施術態勢」という事もできます。心の底で「催眠に掛かりたい」との欲求がどの程度あるかは別として、ラポールが築かれていれば「催眠に掛かり易く」なっているとも言えます。誘導を受ける側から言えば、信頼感や安心感・ちょっとした緊張など様々な気持ちが入り混じっていますが、催眠誘導を受け入れる心の状態になることを「ラポール」が築かれると言います。逆に言えば誘導を受け入れない状況はラポールが築かれていないかもしれないわけです。自分では意識していなくても心の内で誘導を受け入れることを許可している場合もラポールが築かれていることになります。このラポールはその時の状況により刻々と変化しもします。誘導者の側から言えば誘導を受ける人との間に「ラポールを築く」と言って、重要なことです。但し、療法の場合、被験者を不安にして催眠を掛けるのは、はばかられます。ですから信頼関係が最も重要になります。どれだけクライエントが「お任せ」状態になるか、が重要です。

<カタレプシー>
筋肉の硬直など。例えば、握ったこぶしがそのままガチガチに固まって開けない、など。筋肉には握る力が入ったままで、自分の意志で無理に開こうとしても非常〜に開きにくいか、または強く掛かると自分の意志では開けなくなる。掛かっている側から言えば、自分の意志とは関係なく、自動的に力が入っている状態。その他、伸ばした腕が曲がらなくなる、身体全体が真っ直ぐに硬直する、など。物理的に筋肉の機能がおかしくなるということではありません。筋肉の意識的コントロールが自分の意志より催眠暗示の方に反応してしまう状態。かなり不思議で面白い感覚です。もちろん必ず解けます。

<トラウマ>
以前に負った心の傷、心的外傷ともいいます。例えば、小学生の時に犬にかまれてそれ以来犬が怖い、などの様に昔心に深く染み込んだこと。これはおおざっぱに言うと「心の深いレベルでの、時に本人も気付いていない『思い込み』」です(少し乱暴な言い方ですが、誤解しないでください)。  しかし、例えばトラウマが現実生活にプラスになり成功できるなどの場合もあります。ヘンな例えですが「恐怖心があるから人は生命を維持できる」ように。 また、ある日本の元プロ野球選手はそのトラウマのおかげで超一流のプロ野球選手になり、当時アメリカでも王、長島よりも有名になりました。衣笠選手です。
  果たしてその人の幸せな人生とは一体どういう人生なのか、心理療法士側だけの判断ではいけないと思います。本人にとっての幸せは、本人が決められます。
  ですから、心身が病的で無い人に、心理療法士が「あなたはトラウマを解消するべきだ」と言って無理やり薦めるのは、少々考えものです。本人からの要望がないのに「犬が怖くないようになるべきです」と言ってしまうのは良くありません。
  心理療法士側から提言する前に本人からの要望があった場合や、命が危険になるなど重大なケース、本人が或る問題を解決したいというためなどのときはちょっと違い、ケースバイケースとなりますが。  楽しみのための催眠においても同じです。


■催眠のやり方や流儀から見た呼び名・・・同じ言葉でも少々違った意味で用いられることがあります。ですので、一般的なちょっと抽象的な解説ですが(更新予定中)。
◎下記のどれが優れているということではなく、目的に合った使い方ができることが理想です。

<古典(的)催眠>
一般に、外面的に見て催眠の掛け方(暗示の与え方)が権威的・指示的だったり、直接暗示での誘導が多く、昔から行われている或る意味単純な催眠方法です。見る側から言えば、一番ショー的に見えるとも言えます。昔から行われているという意味で「古典(的)」と言うわけです。古典(的)だから、又は単純だからと言って一概にレベルが低いと言うのは間違いで、状況に合わせて使い分けます。催眠を習得する上では基本と言え、おろそかにするべきではないでしょう。療法的な意味で言えば、神経症レベルのクライエント(患者)に対して、フロイトはいわゆる権威暗示のみ(権威的というのは、命令的・指示的な暗示の与え方というのも含みます)での催眠をやっていましたが、これは古典的催眠療法と言えます(治療効果にはこの権威暗示のみの古典的催眠療法では限界がありました)。
・・・例えて見たら・・・空手で言えば基本の「型」ですし、催眠を料理の包丁に例えれば、基本的な包丁とその使い方、みたいなもんです。

<現代(的)催眠>
一般に、古典(的)催眠に相対比させて言う意味で使われることが多いです。但し、言う人によって「現代(的)催眠」の意味は違ってきます。はっきり言ってかなり似通ったカンジですが、あえて分ければ、ほぼ3パターンあります。
◇1つ目は、
かなり乱暴な言い方をすれば、古典(的)催眠に相対比させてその年代のその時点を「現代」として「現代(的)催眠」という言葉を使って、例えば60年代にはその時点で「現代催眠」と言えます、が、でもこれでは後述の3つ目とも似てるし大ざっぱで広い意味すぎますので、このホームページではこの1つ目の意味は採用しません。
◇2つ目は、
NLP(神経言語プログラミング。後述に説明あります)という技法を行う一部の人の中には誤解しやすい事に、NLPのことを非常に広い意味で現代催眠とか、もしくはNLPの技法プラス催眠術を現代催眠と言ったりもします。また、良い悪いは別として、”NLPセミナー”では何の事か良くわからないということもあり、また催眠と絡めてなどで、”NLP現代催眠”と表示して宣伝している場合もあります。ですが、「現代催眠」という言葉をこれらの意味で使うのは催眠についての誤解が生じやすく、又あまり一般的ではなく、かなり偏った意味になり得ます。場合によっては「催眠」の意味するところ(定義)を非常にずい分広げた解釈として伝わったり、逆に「暗示や表現」に力点を置いてしまって、本来の催眠の意味と違ってしまい、狭い偏った意味にもなり得ます(NLP的に言えば、TVのCMも催眠ってことになってしまいます。その混同の元は「暗示」と「催眠」の混同にありそうです)。 それは、NLPの方法の中心軸はどちらかと言えば「催眠」そのものよりも、「表現の仕方・比喩・暗喩・暗示的表現・考え方」というようなことを基本にしているからです。つまり、「催眠」や「催眠状態」を基本に考えているのではないからです。・・・・・・・・ところで、・・・「あ、、い、、う、、え、、」と言えば、、、・・・・・・・・次の「お」を頭の中で思い浮かべた人もいるでしょう。これが「”お”を思い浮かべる」という暗示だったからと言って催眠状態になっているわけではありません。また、現代催眠のことを、「理性を下げることなく、理性をすり抜けて暗示を入れること」だと思っている人も居ますが、これなどは典型的な誤解と言え、これは本来単なる「暗示」であって、催眠とは直接は関係ありません。この場合は単に「暗示」というべきなのです。その意味でも暗示と催眠をきちんと区別して考えた方がいいでしょう。よってこのホームページではこの2つ目の使い方も採用しません。
◇3つ目は、
「催眠状態(定義は色々あります)」に軸を置きながら、色んな技法を使う催眠のこと。「現代催眠」という言葉が一番多く使われるのはこの意味です。また一般的な意味での「現代(的)催眠」とも言えます。例えば、上記のフロイトがやってた古典的催眠療法は限界があって、その対策に他の心理療法技法(例:催眠分析療法や催眠行動療法)を取り入れた折衷的な催眠療法が出てきましたが、ここらへんからを現代催眠と言ってもいいとも思います。特に日本では広まってきたという意味では80年代始め頃からと思っていいでしょう(一部専門的にはもっと早かったですが)。ミルトン・エリクソンの心理療法や家族療法などが広まってきた頃によく「現代催眠」と言われるようになってきた、とも言えるでしょう。そして、2005年現在においては一般には、『いろんな方法を取り入れたより進化した現代の催眠』という意味を強調して「現代(的)催眠」という言葉を使っている方が多いと思います。「暗示(NLPに関係なくです)や表現方法・伝達方法・思いの植付け・イメージの喚起・情動のコントロールなど」にかなり力点を置きながらも、「催眠状態(色んな定義がありますが)」を考え方の中心からはずしてないものとして、一応「催眠」中心に考えての「現代催眠」という感じと思えばいいと思います。これは特に療法系の世界では、クライエント(患者)にとって最も適するように、浅〜い催眠状態(ある意味催眠状態とはいえないような催眠状態と類似の状態も含む)から深〜い催眠状態まで幅広く活用する考え方ですし、又、催眠誘導をするのに、権威的・指示的な暗示も使うし、単なる会話のようであってそれと気づかれない暗示も使う、動作なども使うなど、『様々なやり方を盛り込んだ催眠の方法』です。
  というわけで、NLPに関係あるか無いかは全く別ということになりますし、このホームページでは、一般的に言われるこの3つ目の「現代(的)催眠」の意味で使います。・・・・・・・・明示的な暗示以外に”暗に示す”という意味での暗示・メタファー等や動作など色んな技法も使う現代の催眠だという意味で「現代(的)催眠」と言っています。現代(的)催眠のすべてをマスターして縦横無尽に使える人は厳密にはいないとも言えるでしょう。それは、実際には催眠を行うのは人間ですので、色々な手法・技法の中でどれが得意だというのがあるでしょうし、又、現代(的)催眠の考えからして(良い意味で発展途中という意味から)、すべてにおいて完成された技法だというのも間違いだからです。古典催眠・伝統的催眠・後述のエリクソン系催眠と比べてどれが優れてるということではありません。催眠それ自体はどれも道具です。
・・・例えて見たら・・・催眠を料理の道具としての包丁に例えれば、色んな種類の包丁とその技術を用意している、ナイフやフォークもあるよ、という感じです。

<伝統的催眠>
一般に、古典(的)催眠とほとんど似た意味ではあります。簡単に言えば違いは、古典(的)という言葉は「古臭い」と誤解される恐れがあること、また、ショー的に見えなくても古典(的)と言うほど狭い技法ではなく、伝統的に行われてきた優れた技法・基本的な技法を含む催眠という意味で言われたりします。権威的でなく「〇〇〇しましょう」などと言う暗示の与え方(誘導)もあります。現代(的)催眠や非伝統的催眠やエリクソン系催眠(後述)と比べた場合、「催眠状態」そのものの定義が少々違っている部分もあるので、催眠の暗示を与える言葉などは固定的・定型的な側面が多目とも言えます。
・・・例えて見たら・・・必ず必要になる複数の包丁、応用も可能な色んな基本形

<非伝統的催眠>
一般に、伝統的催眠以外にも進化した色々な技法を含むよ、と言う意味での催眠です。意味するところは本来は、エリクソン催眠から派生した催眠というわけではありません。広い意味で現代催眠やエリクソン系催眠の技法はこの範疇と重なりますが、いわゆる催眠に掛かった状態=「催眠状態」は重視する傾向と言えます。もちろん断定的でない暗示の与え方などもあります。
・・・例えて見たら・・・「必ず必要な複数の包丁、応用も可能な色んな基本形」にこだわらないヨ。

<エリクソン催眠 と エリクソニアン催眠/エリクソン系催眠>
エリクソン催眠は米国の20世紀最高の心理療法家と言われる故ミルトン・エリクソンが行った催眠のことです。彼の名前からエリクソン催眠と言われます。厳密に言えば、エリクソン催眠をできるのは、ミルトン・エリクソンその人だけです。そのミルトン・エリクソン流の催眠を行う人たちのことをエリクソニアンと言います。ミルトン・エリクソンを源流として、そのやり方を踏まえてという意味を強調してエリクソン系(流)催眠(エリクソニアンの催眠)と言います。「催眠状態」というよりも「トランス」という言葉を使います。「催眠状態」と「トランス」の定義は研究者によってちょっと違いが有ります。 まぎらわしいですが、人によってまた場合によっては、広い意味でエリクソン系催眠を現代(的)催眠ということもありますし、技法は現代催眠や非伝統的催眠の範疇と重なると言ってもいいでしょう。蛇足ですが、日本の催眠研究の第一人者;成瀬悟策(2005年現在、健在)の方が、ミルトン・エリクソンが行うような催眠はエリクソンがするより前から既に行っており、ミルトン・エリクソンより催眠は上手いという意見もあり、これは私自身信頼に足る意見だとも思っています(エリクソンと成瀬は互いに懇意な交流をしていました)。
・・・例えて見たら・・・上記同様に包丁に例えれば、伸縮自在・変形自在の万能包丁みたいな感じでしょうか、イマイチヘンな例えですが(^^; ・・・(催眠を包丁に例えたのは、「催眠に掛かった状態」を「包丁で切った状態」という意味で、です。その意味ではエリクソン系催眠では「切ってない」「包丁をあててるだけ」という状態もあります・・・よけいヘンな例えになってしまったですかね)

<NLP>・・・上記の説明で出てきたので書きます。
NLP(Neuro-Linguistic Programming;神経言語プログラミング)とは、より良い”脳のプログラミング”の方法を教えて、人が変わることできるようにするもの、と言われています。例えば、ある人の行動を観察して分析して、それを一体化したり修正をかけたりするための技法(ツール)とも言えます。ある意味、人間をコンピュータ的に捉えているところもあります。
 NLPは米国でリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーらが、70年代半ばに始めたものです。彼等は心理療法の大変上手い人(や成功した人)の言葉使いなどを心理学的・言語学的などの方面から研究しました。療法家ではヴァージニア・サティア(「家族システム療法の母」)、ミルトン・エリクソン(「米国の20世紀最高の心理療法家(現代催眠療法の父)」)、フリッツ・パールズ(初期ゲシュタルト療法の提唱者)らをモデルとして研究したと言われています。
 日本でも80年代後半の自己啓発セミナーブームに乗り「ビジネスや営業にも使える」ということで一部流行し、最近も心理的ブームもあり多少知られているようです。しかしながら現在では、「NLPとは一体どんな内容なの?」と問えば、NLPの初期の流れでも又、流派などによっても違った答えが返ってくることが多いようです。NLPについては説明はあいまい性が多く、そのため人によって意味するところが違ったりで、一貫した説明を得るのは難しそうです。
 但し、NLPを学ぶことが無意味だとまで言うのは言いすぎでしょう。言葉やノンバーバルな表現(言語外の表現)などを学ぶにはそれなりに得るところはあるとも言えるでしょう。と言いつつも・・・、80年代後半に一部流行したときもそうでしたが、NLPにはどうも批判が付いて回っています。その批判のいくつかを上げれば・・・NLPを普及させる側がビジネス志向(金儲け主義)が強くNLPを学ぶシステム自体もそうなっている(これは本当にそうだと思います。私自身がNLPトレーナーから直接聴いた言葉は「NLPはマルチ的とまでは言わないまでも、そういう色合いが強いシステムなんです」と言っています)、NLP自体が一体結局どうなってるのかは結構あいまいで且つゴチャゴチャしている(基本的な考え方として、心理学的・科学的というには哲学的色合いが強くあいまい)、他の人が出来たからといって別の人もそれを出来るとは限らない、地域や国など比較文化的な意味合いからもアメリカと日本では言葉やコミュニケーションとそのコミュニケーションの前提条件自体がかなり違うではないか、学術団体としての学会等での科学的研究については弱い、流派が分かれていてどれが本当のNLPが不明(バンドラーとグリンダーは裁判で争っている)、一部専門家からはNLPを批判する声(NLPの一部テクニックそのものに疑問があり信頼できない)がある、などです。
 NLPはミルトン・エリクソンの催眠療法に多くを負っていることもあり、NLPを行う人はNLPのことを、もしくはNLPの技法プラス催眠術を現代催眠と言ったりもしますが、催眠研究の側などから言っても、これはかなり偏った言い方だと言えましょう。  NLPの方法の中心軸はどちらかと言えば「催眠」そのものよりも、コミュニケーションの技法という色合いが強いです。つまり「表現の仕方・比喩・暗喩・暗示的表現・考え方」というようなことを基本にしています。つまり、「催眠」や「催眠状態」を基本に考えているのではないと言えます。  暗示と催眠を分けて考える例として「暗示の仕方」では、・・・「レモンの味ってどんな味?」「うめぼしの味は?」「イカの塩辛にはやっぱり日本酒だね」「辛しめんたいこの味ってどんな味?」「アンチョビのスパゲッティ味」と言われたら・・・・・・・・・・・・・口の中に唾液が出た人や生唾ゴックンとした人もいるかもしれませんが、それは前記の言葉は「ツバが出る」という状態を引き起こすような暗示(「ツバが出ます」という暗示)でもあったからです。かと言って催眠状態になっているわけではありません。その意味でも暗示と催眠をきちんと区別して考えた方がいいでしょう。  上記のツバが出る暗示でお腹がすいた人もいるでしょう。 ところで、あなたは今日、めんたいこ食べたいですか?それともイカの塩辛がいいですか? (^^) )


■カウンセリング・療法など
<ブリーフ・セラピー>
短期療法のこと。フロイトに始まる自由連想法やロジャーズの来談者中心療法(クライエントセンタードセラピー、又はパーソンセンタードアプローチ;PCA)というカウンセリングでは時間的に長期間かかり又費用もかかるので、そこをなんとかしようと考えられたのが短期療法という考え方や仕方です。短期療法が万能という意味ではありません。結果的に短期で終われるように、という考え方で行うセラピーです。また、「良くなる」という目標や考え方(哲学)の違いもあります(例えば、ロジャーズ派PCAでは人間的成長という側面を多く含みます)。

<解決志向アプローチ:Solution-Focused Approach=SFA>
最近カウンセリングやセラピーについて話す人達の間では、よく「ブリーフ」とかSFAとか解決志向という言葉が出て来ます。でも、2つの言葉を混同して使ってる人がいます。重ねて書きますが、気をつけたいのは、”ブリーフセラピー”という言葉と、”解決志向〜”という言葉を混同しないことです。というのは、分類の視点がまるで違うからです。”ブリーフセラピー”というのは「短期療法」のことで、終了までの時間やセラピーの回数に力点を置いた分類です。”解決志向〜”の方は、セラピーを行うに当たってのセラピストの視点・姿勢・考え方の構え・思い方の焦点の構え、に力点をおいた分類です。「解決志向ブリーフセラピー」というのは、”解決志向アプローチ”プラス”短期療法”ということです。解決志向アプローチが短期で終了することも多いので、ブリーフセラピーと混同してしまいやすいのかもしれません。
解決志向アプローチは、問題を見つけてその原因を追求するのではなく、また、原因それ自体をどうのこうのしようとするのではなく、それよりも問題を解決しようと”解決”に焦点を当てる方法です。また、そういった「問題へのアプローチの仕方」をとります。源流はミルトン・エリクソンです。なので場合によっては催眠を使ったりもします。一見、その場的な対処療法のようだと思われがちですが、違います。また、「問題解決」というよりも、「解決構築」という考え方です。問題が起こった原因を、いつも全部、カンペキに無視するわけではありませんが、原因に焦点を当ててそれをナントカしようと四苦八苦しても困難な場合が多々ありますよね。原因に焦点を当ててもその原因がどうしようもないものだったらアカンですよね。且つまた、「問題」は勿論無視しませんが、それに捕らわれすぎてもナンですよね。で、「解決構築」ってワケです。 (原因という言葉と、問題という言葉を混同しないでくださいね)。 また、問題が解決(又は解決構築)された場合には、原因はそのままであったとしても、問題を引き起こすことはなくなってしまってることもあります。原因を辿れば極端な話し、「誕生時に不幸だったからだ!」「日本に生まれたからだ!」・・・「宇宙誕生のビックバンが原因だ」、なんてことにもなりますよね。過去は変化しなくても、でも幸せになれますし、幸せになってもいいんです、そして、英語は習えばそれなりに出来るようになります(^^)。
「今」を決めているのは「過去」ではありません、たとえ過去が今に影響していたとしても、「今」を決めるのは「未来」への思いや願いなのです。今を決めているのは、なんと、あなたが自由に作り出せる「未来」なのです。・・・「宿命」は変えられなくても「運命(命の運び方)」は変えられます。あなたは、あなたのままでいいのです、そして変わることもできます。・・・素敵でしょ(^^)



その他にも色々な用語はあります。

--戻る--