催眠を掛ける人へ・・・催眠を掛ける目的

● 互いに楽しむ催眠、や、催眠誘導の練習などで・・・

★ 注意が必要なこと

催眠は実は、知識がとても重要なのです。・・・実践第一じゃないのって?(^^)
催眠をうまくなるには実践が大事、そんなことは当然ですが、知識が無いと自分が一体何をしてるのかさえわからないでしょう。また、危険なことも有り得ます。楽しむための催眠と思っていても、思わぬ落とし穴に落ちないためにも、そして何より相手の人のために、知識は必要です。催眠の実践を3、5年間もやってるから危ないことは何か十分知っている、危険は無い、などと思ったら大間違いなのです。催眠の経験(催眠歴)とは別なことがあります。

知識は先人が何十年もかけて見つけたものも多くあります。普通一般には多くありませんが、時に精神的・肉体的な状態によっては、安易に催眠を掛けるのは良くない場合があります。自律訓練法(自己催眠の一種)なら大丈夫だろう、とは一概に言えません。リラックスだけの催眠ならどんな人にもいいだろうとも一概に言えない場合もあります。次のような意味で・・・。

例えば、消化器疾患のうち出血の可能性のある場合(胃・十二指腸潰瘍など)の人に、「あなたのお腹が暖かくてリラックスしている」と催眠を掛けたらどうでしょう?「暖かくなる」や「リラックス」は血管の拡張を促します。つまり、血液がより多く流れやすくなる方向です。内出血を起こすかもしれません。自律訓練法(自己コントロール法)の第5公式も同様の暗示なので同じです。他にも危険なことは多々あります。心筋梗塞を患った人に「ワクワクしてきてとっても嬉しくなる」はどうでしょう?ワクワクすると同時に心臓の動きにも影響を与えるでしょう。そして必要以上にドキドキしてしまったら、危険を伴うとも言えるでしょう。盲腸で手術直後の人を笑わせるのもイカンですよね(^^;
リラックス誘導はどうでしょう? リラックスすると、ある人にとって、それまで緊張感によって抑えられていた『不安感』が表出してくる人もいます。また、過呼吸(激しい呼吸を繰り返す状態)になる人もいます。そういった場合の対処法(催眠暗示以外の)も知っている必要がありますよね。軽い催眠でもそうなる人も中には時にいるのです。深い催眠によってトラウマが表出してきてパニック発作を起こすようなことがあったら大変ですよね?「頭が真っ白になる」だけではフォローできないとも言えます。このように、身体の病歴や病気の種類・その時期によって、危険を伴う暗示があります。もちろん身体だけでなく、精神疾患など心理的に健康でない人についても注意が必要なのは言うまでもありません。上に書いた以外にも色々あります。
催眠をすでに出来る人にとっても意外な落とし穴だったかもしれません。

このようなことを知らずに催眠を掛けたらどうなるでしょうか?場合によっては過失障害的なことになる可能性がありますよね。催眠は精神・心だけではなく、身体にも影響を与えます。その意味でも知識が必要です。また、催眠を掛ける相手の心身の状態をあらかじめ最低限把握するようにした方がいいと言えるでしょう。



ショー催眠にしろ、催眠療法にしろ、「催眠を掛ける(催眠誘導する)」のは「手段」です。目的はその向こうですよね(^^)。ドライブに例えれば、ドライブしてるだけでも楽しいでしょうが、ドライブで何処に行くか、です。

現実として楽しむ目的での催眠は行われていますが、そういう場合でも同じです。例えば催眠術の練習で誰かに催眠を掛けるとしても、相手が望む「目的地」にお連れするのが大事です(そうでなければ拉致(^^;になってしまいます)。相手(被験者)が行きたい「目的地」がどんな場所でどんな雰囲気と時を味わいたいのか、それが良くわかり合わせられる人ほどすばらしいガイドと言えるでしょう。そして時には、もっと遠くに連れて行っても良いものか、楽しんでいる相手の代わりに途中で立ち止まって考えてあげるのも必要です。

相手が催眠に掛かることに慣れていない人なら、誘導内容によっては慣れないことをして疲れているかもしれませんし、あまり長時間続けるより一旦戻るのも時に必要でしょう (初めて催眠を長時間、深く掛けられた場合、人によっては軽く頭痛がする人もたまーにいます。そういう場合はすぐに催眠を解いてリラックスして休ませてあげましょう。私の経験では、健康な人でも連続して数時間様々な暗示(特にショー催眠でやるような暗示)に反応させた場合に、そうなる人がたまにいます。被験者があまり気分が乗らない時もあるでしょう。誰でも慣れない事をはげしく長時間すれば疲れたりしますよね。そういう人でもたいてい慣れれば頭痛もしなくなるのがほとんどですが、例えばショー的な暗示を受け入れるのが疲れてしまって、脳が暗示を受け入れたくない状態になっている場合などに頭痛がする人もいます。ですのでそういう場合はすぐに休ませてあげましょう)。

また、相手が被験性がものすごく高いからと言って、誘導者(催眠術師)の自己満足だけで振り回したり、自分の気持ち(試してみたい暗示など)を被験者に押し付けたりすると、誘導者も被験者も後味が悪くなります。そうなったら終わりです、「次」はありません。

催眠は少し練習すれば出来るようになります。いきなり瞬間催眠のような事をしたり、ムリヤリ催眠に掛けることも、被験者によっては、その他の条件が十分整っている場合はできてしまうこともあります。しかし相手が望まない事をするとその後が大変な事になります。当たり前ですね。人が嫌がる事は絶対いけません。これは催眠に限ったことではありませんね。社会一般の当たり前のことです。場合によっては訴えられます。また被験者が深く催眠に入り朦朧としているからといって自己満足・自分中心の考えで催眠を行っても、後でバレます(「忘れる」暗示を与えれば大丈夫だろうと思ってたら大間違いです)。それがバレたとき、その施術者(催眠術師)は被験者からも回りからも「最低なヤツ」と軽蔑されるだけならまだマシかもしれませんが、それ以上に人生を間違っちゃいます。友人どうしでもケンカになるかもしれませんし、場合によってはセクハラや傷害罪等に問われます。催眠は相手第一に使うことが、なによりも自分のためになります。知識・技法や人間愛などと同時に、倫理が大事です。催眠はナイフと同じです。道具です。野蛮人が鉄砲を初めて持って調子に乗った様には、ならないようにしてください。この「催眠」という“道具”は人間を相手にするものです。相手第一に、そして倫理感を持って使ってください。


たとえ楽しむ催眠のときでも、被験者にとって「適度」にしてあげましょう。その内容や「目的地」がほぼ相手の希望どおりだったらそれが最高のガイドです。そんなガイドがいたら、それが最高の催眠術師ですね(^^)






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